« ドニゼッティ 「ドン・パスクワーレ」 ムーティ指揮 | トップページ | クリスタ・ルートヴィヒを偲んで »

2021年4月24日 (土)

モーラン ラプソディ ファレッタ指揮

Azumayama-005

4月早々の吾妻山。

もう桜は散り始めで、今年はほんとに早かった。

Azumayama-007

富士山、ちょっとだけ。

Moeran-falleta-01

  モーラン ピアノとオーケストラのための第3ラプソディ

     Pf:ベンジャミン・フリス

   ジョアン・ファレッタ指揮 アルスター管弦楽団

       (2012.9.17 @アルスター・ホール、ベルファスト)

アーネスト・ジョン・モーラン(1894~1950)は、英国抒情派の作曲家。
以前のモーランの記事でも書いてますが、そのプロフィールを再度。
直接的な師弟関係は、アイアランド。
アイアランドは、同じく抒情派で、出身の
スコットランドゆえにケルト文化を愛し、朋友バックスとともにケルトの神秘かつ原初的な世界に大いに影響を受けたのでありました。
ロンドン生まれのアイルランド系のモーランは55歳の短命だったが、その死の要因は、第1次世界大戦で頭部に重傷を負ったことで精神を病んだことでもありました。
自身が育ったノーフォーク地方の民謡や風物の採取に熱中し、やがて自身のアイルランドの血に目覚めていったという生涯。
豊かな自然のイギリス東部のノーフォークと、孤高なケルト文化を背景にしたアイルランドやスコットランド、このあたりの光景を思い浮かべながら聴くと、モーランのその美しい音楽はますます心にしみわたるようにして聴こえます。

数はそんなに多くはないけれど、オペラ的なもの以外のジャンルにまんべんなくその作品を残したモーラン。

アイアランドに師事していたころのの若き作品に、ラプソディ(狂詩曲)第1番があり、1922年。
その2年後に、ラプソディ第2番を作曲し、こちらは1941に改作されてスケールアップ。
どちらもモーランらしいメロディアスな作品。
 そして充実期の1943年、バックスの提案を受け、ラプソディの3作目を、しかもピアノ独奏を伴う協奏曲風なスタイルの作品を書きます。
これが、ピアノとオーケストラのための第3ラプソディです。
同年8月、ロンドンで、バックスの公然の恋人だったハリエット・コーエンのピアノ、ボールト指揮するBBC響にて初演し、成功をおさめます。

連続して演奏される17分ぐらいの曲。
明確に3つの部分からなってますので、まさにピアノ協奏曲ともいえる。
快活でリズミカルな第1部は、特徴的なモティーフが何度も繰りかえされる。
やがて、静まり、ピアノが独白を始めると、そこにオーケストラがそっと支えるようにして入ってくる。
緩徐楽章的な第2部の始まり。
ここが、この作品の白眉ともいえます。
ともかく美しく、儚げで、郷愁もたっぷり。
遠くを眺めて、ずっとずっと聴いていたい。
 しかし、ピアノが再び元気を取り戻したかのように第1部を回帰される。
ここからが第3部で、懐かしそうに第2部のムードも回顧しつつ、第3部は一番スケールが豊か。
打楽器も鳴り、金管も元気だし、例の特徴的なモティーフをオケもピアノも何度も繰り返す。
2部の美しさをピアノソロのカデンツァのメインとしつつ、やがてジャズっぽい即興性も感じさせつつ、鮮やかなコーダを迎え曲は閉じる。

短めだし、いろんな要素がなにげにたくさん詰まっているラプソディ3番。
何度きいたことでしょうか。

すっきり系のイギリスのピアニスト、フリスさん。
NY生まれの女性指揮者ファレッタさんは、かつてアルスター管弦楽団の首席を務めていて、雰囲気豊かなのこの作品にピタリのオーケストラから、素敵なサウンドを引き出してます。
かつて、ブライデン・トムソンやハンドリーらのもとでローカルな味わいのオーケストラだったアルスター管。
ファレッタのそのあとがエル・システマ系のラファエル・パヤーレ(モントリオール交響楽団の次期指揮者)。
パヤーレのあとは、イタリアのイケメンで有望核のダニエーレ・ルスティオーニが首席を務めてます。
こうして、ローカルな味わいのオーケストラも、グローバルな波に流されていくのはちょっと寂しいですが、このアルスター管は生で、一度聴いてみたいものです。
 あとファレッタさんが、いま指揮者のバッファローフィルも何枚か集めましたのでまた特集しようかと思います。

 「モーラン ヴァイオリン協奏曲 モルトコヴォッチ」 

 「モーラン 弦楽四重奏曲、ヴァイオリンソナタ メルボルンSQ」 

   「モーラン  交響曲 ハンドレー指揮」

 「モーラン ロンリー・ウォーターズ」

 「モーラン 幻想四重奏曲」

Azumayama-010

|

« ドニゼッティ 「ドン・パスクワーレ」 ムーティ指揮 | トップページ | クリスタ・ルートヴィヒを偲んで »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ドニゼッティ 「ドン・パスクワーレ」 ムーティ指揮 | トップページ | クリスタ・ルートヴィヒを偲んで »