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2022年1月 3日 (月)

フランク 交響曲 ロンバール指揮

Odawara

2022年が始まりました。

高校時代に通った小田原です。

個人的にも新年早々、大きな出来事もあり、それこそめでたしですが、今年は他にも自分にとって大きな変化があります。

それはともかくとして、日本も世界も、自然災害や政治、国際関係など、激しく動くものと予見します。

でも、どんなときにも、音楽は片ときも手放せません。

今年のアニバーサリー作曲家は、フランクやV=ウィリアムス、スクリャービン、アルヴェーンなどなどで、ちょっと渋いですね。

Franck-sym-lombard-1

      フランク 交響曲 ニ短調

 アラン・ロンバール指揮 ボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団

         (1995 @ボルドー)

生誕200年のセザール・フランク(1822~1890)
交響曲、交響詩いくつか、交響的変奏曲、ヴァイオリンソナタ、ピアノ五重奏曲、「至福」ぐらいしか聴いてない作曲家フランク。
交響曲だけは、20枚以上もそろえてしまったけれど、それだけは近くて、あとは自分にはなんだか遠いフランク。
ワーグナーと同時代のフランクだが、ワーグナーの音楽とは対極にあるようでいて、でも熱い宗教心が情熱的なうねりを呼ぶ点で、ワーグナーの音楽にも近いともいえるかも。
また、ブルックナーとも2年違いで、ということは、2年後にはブルックナーは生誕200年を迎えるわけだが、そのブルックナーは、フランクが交響曲作曲時は、7番の交響曲を作曲していた時期に重なる。
フランクは66歳にして始めて書いた交響曲。
第2番には行かなかったところもまた、慎ましいフランクらしいところ。
宗教的な感動が背景にあることを抜きに語れないフランクとブルックナーの音楽、ここ1~2年は多くの作品が録音されるものと思われます。

全曲を通じ共通の動機が使われていることから、循環形式と呼ばれる、しっかりした構成をもった音楽。
以前より書いてますが、中学生の時に初めて聴いて、第1楽章で形を変えて反復されるカッコイイ動機に惚れ込み、年をとってからは、第2楽章のイングリッシュ・ホルンの旋律が心に侘びさびのようにしみるようになった。
明るい終楽章の冒頭、やがて全曲を回顧するかのような雰囲気のあと、歓喜の中に終結する。
もっと弾けていいと思うが、でもこのぐらいがフランクらしく、フランクたる由縁の終わり方。
コンサートでも、なかなか盛り上げにくいところも好き。

生国ベルギーのオーケストラの録音は、存外に少ない。
ベルギー出身のクリュイタンスも、この交響曲の正規録音はない。
このあたりも前から思っていた、残念な部分。
少年時代に移住したフランスのオケのものはたくさんあり。
パリのオケばかりでなく、各地のオケによる録音もいろいろあって、フランクの交響曲で、フランス各地のオーケストラめぐりをするのも楽しい。

ボルドーのオーケストラによるこのCDもそのひとつ。
1853年を起点とし、その後、改編や合体をくり返し、ボルドー・オペラとも兼ねる存在となり、1988年にはナショナルの冠がついた。
そのときの音楽監督がアラン・ロンバール。

ロンバールの経歴を過去記事から
1940年生まれ、フランス国内での活動から、1966年のミトロプーロス指揮者コンクール優勝(ちなみに、飯守泰次郎は、このとき4位)。
その後、バーンスタインの助手をつとめ、メトなどで活躍し、オペラ指揮者としての才覚もあらわす。
71年からは、母国ストラスブール・フィルの音楽監督となり、エラートとの契約も成立し、当時、オーケストラ録音にこぎ出したエラートの看板コンビとして、大量の録音を残しました。
 その後は、ボルドー・アキテーヌ管弦楽団、そして、いまは、スイス・イタリア語放送管弦楽団の指揮者として活躍してます。

ストラスブール・フィルとの70年代の録音の数々は、そこそこ聴いたけれども、パリのオケとも違うちょっとドイツっぽいオケを駆使し、またエラートの鮮やかな録音も手伝い、切れ味のいい、かつ明晰な演奏が印象に残っている。
ボルドーとの演奏は、このフランクしか聴いてはいませんが、カルメンやオテロ、マーラーなどの録音も気になるところ。
 このフランクの演奏は、テンポをいきなり動かしたりして、あれれ?と思わせるヶ所が散見されるが、案外に渋い仕上がり。
ストラスブール時代のキレのよさは影をひそめ、ややモッサリ感があるのが以外だけれど、オケがローカルな味わいがあり、2楽章など曲の良さをしみじみと実感できました。
フランス南西部のボルドーのオケは、この時期まだ鄙びた雰囲気を出していた。
もしかしたら、もっとスタイリッシュな演奏だと思われるストラスブールでの旧録音もなんとか聴いて比較してみたい。
ロンバールはやはりオペラの指揮者なんだろうか、不思議な指揮者ロンバール、今回のフランクを久方ぶりに聴いて実感。
超ベテランとしての存在を今後示せるか。いかに。

それにしても、フランクの交響曲は、指揮者とオーケストラによってさま変わりしてしまう正解の演奏のない作品だと思う。
カラヤン、バレンボイム、コンドラシン、ヤンソンス、バルビローリあたりが好き。

ロンバール過去記事

「幻想交響曲」

「ツァラトストラはかく語りき」

Odawara-09

小田原駅近接の商業施設、minaka小田原。



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