平塚フィルハーモニー 第32回定期演奏会
ヴォーン・ウィリアムズ 交響曲第5番 ニ長調
ベートーヴェン 交響曲第6番 ヘ長調 「田園」 Op.68
「プロメテウスの創造物」から「パストラーレ」
田部井 剛 指揮 平塚フィルハーモニー管弦楽団
(2023.6.11 @ひらしん平塚文化芸術ホール)
本格的なアマチュアオーケストラ、全国に多くのアマオケがあるけれど、平塚フィルほど果敢なプログラムで勝負をし、そして一般の市民リスナーも、マニアも、ともに満足させてくれるオーケストラはないと思う。
といっても、私は隣町に帰ってきたばかりなので、まだ2回目ですが、前回はしべリウスの5番とブルックナー4番。
過去演を見ても、オール・エルガープログラムとかいろいろやってる。
そして大好きな曲ばかりの本日も、幸せな気持ちにさせてくれる演奏でした。
「祈りと平安」がこの2曲のモットーだろう。
2曲を通じて、大きなフォルテの回数はほんとうに少なく、優しさと安らぎにあふれた音楽たち。
プログラミングの妙です。
V・ウィリアムズの音楽のなかでもとりわけ大好きな5番。
癒しの音楽としても、コロナ禍以降、さらにアニバーサリー年もあったので、演奏会での機会も世界的に増えている。
もうだいぶ経ちますが、プレヴィンとノリントンの指揮で、ともにN響で聴いてます。
巨大なNHKホールでなく、ほどよい規模の響きのいいホールで聴くRVW。
ほんとに美しく、哀しく、愛らしい音楽だとつくづく思った。
とりわけ、切々と歌う哀歌のような3楽章は、曲のよさに加え、平塚フィルの心のこもった演奏に涙が出そうになった。
この楽章の旋律、亡きエリザベス女王の葬儀でオルガンでひっそりと、しめやかに演奏されました・・・
終楽章の、浄化されていくようなエンディングも、指揮者とオケが一体になって、感動的で素晴らしかった。
静かに田部井さんの指揮棒が降りて、完全に静止。
普通に、わたくしは拍手をしましたが、誰も拍手せず、フライング拍手みたいになってしまった。
多くの方が、きっと初聴きで、とまどっておられました。
遠慮がちな拍手は、指揮者が袖に消えると止まってしまった。
わたしは、ひとり頑張って拍手してたけど、ひとりだけ。
オーケストラの面々も戸惑いを隠せません。
わたしの後方の方が、難しいとつぶやかれました・・・
がんばれ、平塚フィル、このような果敢なプログラムで、クラシック音楽にはいろんな曲があること、もっともっと素敵な音楽があることを広めて欲しい!!
過度に鳴りすぎない、ナチュラルな響きのホールです。
後半の「田園」は、聴衆との呼吸も一体感も際立った安定・安心の演奏。
オケの木管、特にフルートとクラリネットが素敵だ。
ヴァイオリンもしなやかで美しい。
桃源郷のような2楽章と、平安に満ちた終楽章。
田園っていいな、名曲は名曲ならでは、ほんといい曲だなぁ~と堪能しました。
うって変わってブラボー飛びかう後半となりました。
アンコールがひとひねりあって、これがまた平塚フィルのなせる技。
プロメテウスから、まさかのパストラーレ。
快活・爽快なベートーヴェン、田園詩情で幕となりました。
楽しかった、ほぼ地元でこんな素敵な演奏会を味わえるなんて。
次はなにを演奏してくれるかな。
ホール正面にあったかぐわしいラベンダー。
イギリス音楽に相応しい。
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