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2023年7月13日 (木)

ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ ミュンシュ指揮

Tanabata-01

久方ぶりに七夕まつりに行ってきた。

ここ周辺の地に育ち、子供時代は欠かさず行っていた七夕。

昔は、竹製がメイン、いまは樹脂やクレーンなどを駆使した大がかりなものに。

かつては、親に連れて行ってもらった。
その後、自分が子供を連れて行った。
いまは、孫と行くようになった。
歳とったもんだ。

Munch-phikadelfia

   ラヴェル 「高雅で感傷的なワルツ」

    シャルル・ミュンシュ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

       (1963.3.14 @フィラデルフィア)

ミュンシュがフィラデルフィアを指揮した貴重な1枚。
しかも、レーベルがCBSで、当時のオーマンデイのもとでCBSにお抱え状態だったフィラデルフィアという、時代背景も偲ばせる1枚。
あと数年たてば、RCAへの録音となったかもです。

ラヴェルのほか、フォーレのペレアス組曲、ベルリオーズのファウストからオーケストラ作品などが収録されてます。

Munch-po

レコード時代、廉価盤化されたものを購入して初聴き。
そのときは、CBS時代のいわゆるフィラデルフィアサウンドが聴かれ、ミュンシュの剛毅さが、とくにベルリオーズでは活きている印象だったが、録音がちょっといまひとつに感じていた。

CD化されたものを聴いたら、印象がかなり異なり、3曲ともに、かなり落ち着きある、むしろ渋い演奏にも感じたのです。
キンキン感じた録音が改善されたことも大きく、横への広がりと程よい響きが実に美しく、フィラデルフィアのオケの巧さ、とくに弦のしなやかさと艶もとても心地よい。

ミュンシュの指揮は、豪快さよりは、抑制の効いた精緻なもので、酸いも辛いも経験してきた大人の音楽を聞かせる。
ことに、フォーレの美しさは、いまの自分には例えようもないです。
こうもむかしの印象とは変わってしまうなんて・・・

高雅で感傷的なワルツ、わたくしラヴェルの作品のなかでも結構好きなんです。
ミュンシュはもしかしたら、この曲、この録音のみなんですかね。
華やかで熱狂的な「ラ・ヴァルス」と違い、幻想味がまさる瀟洒な、でも寂しさも感じるシックな作品。
ミュンシュの力を抜いたかのような優しいタッチによる演奏は、フィラ管の名手たちのソロも際立ち、じっくりと聴くにたる桂演であります。
シューベルト風のスタイルで作曲したというラヴェル。
ピアノ原曲と併せて聴くと、ラヴェルのオーケストレーションの天才性もわかります。

以前にも書きましたが、ラヴェルのアニバーサリー年に、小澤&新日フィルでこの曲が演奏されましたが、静かにこの作品が閉じたあと、ラ・ヴァルスがとめることなく演奏されて、雲の間から見えてくる舞踏会をつぶさに体感することができました。

Tanabata-02

いくつになっても、七夕飾りは美しいものです。

Ansermet_ravel_20230713092901

高雅で感傷的なワルツ、初のレコードはアンセルメでした。
リズム感豊かな、スイス・ロマンドとの名コンビが生んだ名演。

Ravel-cluytens-3-a

いまは昔、むかしむかし、おフランスにパリという名前のお洒落な街がありました。
そんな感じのクリュイタンス盤。

Ravel-boulez-1

クールで研ぎ澄まされたラヴェル。
70年代のブーレーズはすごかった、クリーヴランドもすごかった。

Ravel-daphnis-abbado-1

軽やかで歌心にあふれたアバドとLSO。
精緻なピアニシモは美しく、そんななかでも歌うアバドの指揮は好きです。

Tanabata-04

高雅で感傷的なワルツ、おしまい。
  

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コメント

LP時代、CBSとRCAのレコードはヒリヒリした音質が嫌いで(イコライジング・カーブがヨーロッパ系列のレーベルと異なっていたため、再生では損していた)セルやオーマンディ、ミュンシュは購入対象外でした。
この頃、買わずにいた彼らの音源を蒐集していますが、CBSに残されていたミュンシュのこの録音、最後に残していたものなので、yokochanさんの記事を早速CD購入します!

投稿: IANIS | 2023年7月14日 (金) 14時05分

8年前までちょうど10年間に及んだ亡母の在宅シングル介護の期間、ラヴェルがこの作品の総譜冒頭に掲げたアンリ・ドゥ・レニェの詩句
「無用な技の得も言われぬ、常に新しき愉しみ」を思い出しつつ日毎のケアにあたっていたのでした。意思疎通も出来ず、恢復の見込みもほぼ無い本人の状態でありましたので。

当方もやはり本盤をCBSソニーの廉価盤で大学時代に入手しました。確かにハイ上がりの固い音質だったと記憶しております。ピアノ原曲はアルゲリッチ、オケ版も他のより新しい録音で親しんでおりましたのでミュンシュ盤はCDでは未聴でした。近年ボストン響時代のミュンシュの演奏に瞠目させられることもしばしばなので、本盤も改めて入手しようかと。ありがとうございした…。

投稿: Edipo Re | 2023年7月16日 (日) 19時41分

IANISさん、まいどです。
CBSとRCAのレコードは、ほとんどが1,300円の廉価盤での体験でしたが、ご指摘のとおりヒリヒリ・キンキンしてました。
それでもRCAのミュンシュは鬼集しまして、こちらもCD化で目が覚めるような音で、再発見もしきりでした。
ライナーはレコードでも悪くなかったです。
暑いです、ご自愛ください。
週末はノットのチャイコフスキー聴いてきます!

投稿: yokochan | 2023年7月20日 (木) 08時45分

Edipo Reさん、こんにちは。
長きにわたるご母堂の介護、痛み入ります。
もう四半世紀も前ですが、なんら反応することのない亡父を数か月看取りました。
虚しかったですが、今思えば愛おしい時間を過ごしました。

ピアノ版ですと、アルゲリッチはいいですね。
あとはペルルミュテールが好きです。
ボストン時代のミュンシュ、ベルリオーズは最高でした!
フランス国立放送とのドビュッシーも思い出深い演奏です。

投稿: yokochan | 2023年7月20日 (木) 09時02分

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