コルンゴルト 7つの童話絵 アレクサンダー・フレイ
大磯の城山公園は紅葉の名所。
海も見えるし、丹沢も富士も見えます。
下に降りて、1号線の向かい側には吉田邸があり、数年前の火事から復旧し、落ち着いた雰囲気の庭園も臨める。
ほどよい自然に恵まれ、こんななかに身を置くと、ほんとに帰ってきてよかったと思う。
コルンゴルト 7つの童話絵 op.3 (1910)
ピアノ:アレクサンダー・フレイ
(2000.1 @ポモナ・カレッジ、クレアモント・カリフォルニア州)
コルンゴルト(1897~1957)の13歳のときのピアノ作品。
8、9歳で作曲を始め、作品番号のないピアノ・ソナタ1番とか、パントマイム劇音楽「雪だるま」などは12歳で書いて、それをツェムリンスキーがオーケストレーションをして、シャルクとウィーンフィルが初演するという風にウィーンで神童の名を欲しいままに。
「雪だるま」は8年前に記事にしてました→雪だるま
このジャケットのコルンゴルトはもう少し年長かもしれないものだが、それでも残るあどけなさ。
若書きのピアノ作品を集めたこのCDの冒頭にあるのが7曲のピアノ組曲。
これを聴いて誰しもが13歳の作曲家の作品とは思わないだろう。
しゃれっ気とユーモア、メルヘンな雰囲気にもあふれていて、味わいも深いときた。
ちなみに、わたしの大好きな大作「シンフォニエッタ」は16歳、「死の都」が22歳、「ヘリアーネの奇蹟」が30歳。
1938年41歳でアメリカに渡ったあとの名作ヴァイオリン協奏曲が48歳、交響曲が55歳、それぞれの代表作の作曲年齢です。
ヒトラーのドイツ国首相就任が1933年。
コルンゴルトは33歳で、徐々にユダヤの出自であることや、帝国の芸術への介入という緊張感を感じていた。
ここからが、コルンゴルトの作風を含め、新たなジャンルの開拓などの模索が始まった。
そんな苦難を少年時代の順風満帆な神童時代には思いもしなかったコルンゴルト。
ともかく、ここできく音楽は幸せな音楽というにつきます。
「低地」で有名なオペラ作曲家ダルベールに捧げられたというのも当時としてはすごいこと。
コスモポリタンなダルベールは、オペラを22作も書いたし、リストを師とも仰いだ人で、スコットランド生まれながらウィーンで活躍し、ピアノも堪能で、その弟子の系譜はバックハウスまでたどり着く。
過去記事「低地」
7曲は合計30分の長さで、それぞれのスコアの冒頭には、のちに「ヴィオランタ」と「ヘリアーネの奇蹟」の2つのオペラの台本作家となるミュラーの詩が添えられている。
それらの詩がどんな内容か知りたくもあったがCD解説にもなかったのでここでは割愛。
7つそれぞれのタイトルを以下に。
①「魔法にかかった王女」
②「王女とエンドウ」
③「聖霊の王ルーラー」
④「妖精」
⑤「妖精の王の舞踏会」
⑥「勇敢な小さな仕立て屋さん」
⑦「おとぎ話のエピローグ」
たやもないタイトルではあるけれど、そのタイトルの雰囲気がちゃんとかもし出されているのが可愛いところ。
印象派風の響きもあり、マ・メール・ロワ的、むかしむかしあったとさ・・・的な物語感とその完結感もある。
ともかく微笑ましい。
初老の域に達した自分のようなオジサンのナイトキャップにも最適な、コルンゴルト少年の佳作でありました。
このCDには、ステキな「4つのワルツ」と写実的な「ドン・キホーテ」組曲といういずれもともに同時期のピアノ作品が収められてます。
指揮者でもあるフレーの丁寧な共感あふれるピアノは、これでとてもいいと思います。
ピアノ作品では3つのピアノソナタがあり、それらもいずれ取り上げます。
都会はキラキラしてるけど、ちょっと田舎のわたしのまわりは、静かで渋く落ち着いてますよ。
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