秋山和慶さんを偲んで
驚きの訃報から数日が経ってしまいましたが、秋山和慶さんを偲んでチャイコフスキーを聴きました。
ご自宅で転倒され、療養のため指揮活動からの引退も表明され、そのあとすぐの悲報でした。
日本中の多くのオーケストラが、音楽家が、ショックとともに悲しみの表明を次々にされました。
昨年の小澤さんの逝去とはまた違った、その悲しみは、いつでも秋山さんの指揮姿に接することができるという、日本のどかこで必ず指揮をしている。。そんな身近な存在というのが秋山さんだった。
実はわたくしは、秋山さんの指揮は大人になってからちゃんと演奏会で一度も聴いていないのです。
高校の時に、プロオケを聴く授業みたいなのがあって、そこで「新世界」を聴いたようなのですが、ほとんど覚えておらず。
繰り返しますが、いつでも聴ける秋山さん、という思いが常にあったのだと。
あとは、オペラの指揮、とくにワーグナーをあまり取り上げなかったのも若杉さんのように積極的に聴きにいかなかった要因かもしれません。
ただ、グレの歌とモーゼとアロン、いまの自分なら飛びついていたでしょうね。
こうした大作をテキパキと指揮できるのが職人的な秋山さんだった。
3月に母校の創立記念の第9演奏会が予定され、初等部からご縁のあった秋山さんが指揮をする予定だった。
これは行かねばと思いつつ日が経ち、こうしてまた機会を永遠に失してしまった。
斎藤先生や小澤さんとの出会いも語ったインタビュー⇒「学友とともに奏でる「第九」<校友・秋山和慶さん>」
日本のオーケストラの首席のポストは数知れず、あとはおもに北米での活動も目立ちました。
なかでもバンクーバー交響楽団の指揮者を長く務め、ご自身もバンクーバーでの生活を10年以上送り、このオーケストラの実力を高めたことは大いに評価されますね。
同響でも追悼のアナウンスがSNS上で見られました
バンクーバーとの凱旋公演はNHKでも放送され、プログラムは幻想交響曲でした。
あの放送、記録に残ってないものだろうか。
いくつかの音源しか所有しませんが、堅実で、律儀なまでの忠実な音楽造りは、どんな曲でもその音楽の本来あるべき姿で聴かせてくれました。
そんななかで、自分でもレアだなと思う札幌交響楽団とのチャイコフスキーの1番を改めて聴きなおしました。
涙が出るほどに美しく、そして寒い冬景色を感じさせる第2楽章。
雪国の暖炉を思い浮かべることもできる、そんな冬の演奏。
チャイコフスキーのロシアの冬でなく、日本の空気の澄んだカラッとした冬を感じます。
秋山さんのブルックナーをこんどは購入してみようと思います。
(アオガクプラスより拝借してます)
秋山和慶さんの魂が永遠でありますこと、お祈り申し上げます。
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コメント
お久しぶりです。
大晦日の演奏会の翌日ご自宅で大けがをされ、もう指揮できないということで引退宣言をされたほんの数週間あとに亡くなられたというニュースには腰が抜けました。
小澤氏の場合、松本フェスティヴァルの映像を見ていたので予感はありましたが、かくしゃくと指揮されている秋山氏だっだけに、こんなことになるとは・・・。
新潟での東京交響楽団定期では何度も氏の指揮に接しておりましたが、スダーン→ノットと音楽監督が移行する中、新潟で氏の指揮に接することがなくなり、僕の氏の最後の演奏体験は川崎定期でのシューベルトの7番(いまさら「未完成」を8番という人もおりますまい)とモーツァルトのレクイエムでした。
氏の70代後半から80代にかけての“真の円熟”期の実演に接することができなかったのが残念です。
広島交響楽団とのベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーの演奏、東響との「合唱付き」やブルックナーの4番を聴くにつけ、作為を一切加えることなく、それでいて各々の音楽の真実が湧き出てくる指揮には、感心させられるばかり。
比肩する指揮者を挙げるとしたら、ブロムシュテット?
あるいは厳粛さをマイルドにしたカール・ベーム?
ただただご冥福をお祈りするばかりです。
合掌
投稿: IANIS | 2025年2月11日 (火) 18時17分
IANISさん、まいどです。
その突然の死、ご本人がまさかの死でしたでしょうね。
自宅で電球を交換しようとしたのか、そこでの転倒事故。
われわれ世代も、これは気をつけねばと思いました。
おかげさまで、東響をよく聴くようになり、円熟の秋山マエストロもいつか聴くことになるだろうと思っていた矢先でした。
長年の四季&第9というプログラムが、一丁前に自分的に秋山さんの演奏から遠ざかる要因だったようにも思えます。
ブルックナー、よさそうですね。
是非聞いてみることにします。
そしてご指摘のマイルド、ベーム、まさにいいえてるかもしれませんね。
引退したり、次々に物故したり、日本人指揮者の巨匠は、コバケン、矢崎、尾高、小泉、湯浅あたりとなってしまいました。
このあたりをしっかり聴いて行くのも、われわれ日本人愛好家のなすべきことかもしれません。
投稿: yokochan | 2025年2月12日 (水) 11時41分