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2025年8月10日 (日)

サマーミューザ 神奈川フィル 「トゥーランガリラ」 沼尻竜典 指揮

Summer-muza

ちょっと加工してみました。
帯とイラストは張り付け加工です。
ミューザで撮影したものを使用してます。
初日だったので、出演者のサインはノットさんだけ。

サマーミューザもほぼ終盤、神奈川フィルの「トゥーランガリラ」を聴いてきました。

平日の19時開演なので、その時間のミューザはずいぶんと久しぶり

Summer-muza-kana-phil

  メシアン トゥーランガリラ交響曲

    沼尻竜典 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

        ピアノ:北村 朋幹

        オンド・マルトノ:原田 節

        コンサートマスター:石田 泰尚

      (2025.8.8  @ミューザ川崎シンフォニー)

今年のサマーミューザのプラグラムのなかでも、もっとも巨大な作品。
果敢にも愛するオーケストラ、神奈川フィルがとり上げました。

1948年完成のこの大曲は、小澤さんや若杉さんといったメシアンを得意とした先達のおかげもあり、日本人にはなじみのある作品だと思うし、日本人好みの音楽だとも思います。
かく言うワタクシは、じつは98年のデュトワ&N響以来の27年ぶりの実演。
その後のプレヴィンは、震災の年だったので不芳な日々で断念しており、極めて残念でした。
前々から神奈川フィル向きの作品だと思っていて、ついに願望がかなった、その神奈川フィルでも初のトゥーランガリラではなかったでしょうか。
この曲をレパートリーにする音楽監督の沼尻さんあっての今回の演奏会。

全10楽章、75分間、ほぼ埋まったミューザの聴衆はまさにまんじりともせず、この膨大な編成のトゥーランガリラに集中し、聴き入ったのでございます。

いつも思う、いきなり思い切り始まる1楽章。
ここで金管、打楽器、オンド・マルトノが鮮やかに決まり、はやくも気分があがった!
ピアノの北村氏とリズミカルなオケとの掛け合いも見事だし、いろんなことが同時進行する、ここを聴いてアイヴズを思ったりもした。

開放的な愛の歌その1、P席だったのでオンド・マルトノの音はやや聴こえずらいが、暗譜の原田さんはさすがの余裕。
弦の刻みも石田組長のアクティブなリードで楽しく、沼尻さんのダンシングもなかなかだ。

クラリネット、やや緊張が、、でもすぐにいつものクールな斎藤さんに戻り、米長さんのコントラバスも静寂ななかに腹に沁みる

ユーモアなタッチのピッコロとウッドブロック、ピアノもベースも加わり、さらに指揮姿も楽しい愛の歌その2。
繰り返されるオンド・マルトノをともなった愛の主題が、まさに神奈フィルらしい繊細さと美音も兼ね備えた素敵さ。

そして来ましたよ、思わず踊りだしたくなるような星々の喜び。
いろんな楽器がいろんなことするので見ていて忙しいし、なんたってここでも沼尻さんの指揮もダンスのようだったし、石田コンマスのむちゃくちゃ弾きまくり姿も目が離せないし、北村ピアノもすげえぇもんだ。
そして眩しい終結部。

トゥーランガリラで一番好きな緩徐楽章的な愛の眠りの園。
真夏のクールなひととき、永遠に続いて欲しい静的な、そこはかとない愛の鳥のさえずり。
静かな場面でこそミューザの音響の良さも堪能できるというもの。
音はブルーだった。

短い楽章だけれど、ピアノに始まり、打楽器、チェロとフルートソロ、とりとめなさもある音楽だけれど、そこに色彩も感じさせる演奏。

オンド・マルトノがいちばんよく聴こえた楽章。
ピアノの超絶ぶりもすごいが、いろんな主題が錯綜し、繰り返されつつ、トゥッティで愛の主題がちらちらと登場しつつ、ついに全貌をあらわすところが快感だった。
波状攻撃のように、次々とクライマックスがやってくるが、オーケストラはほんとに大変だなと思ったし、指揮者の役割として、それを束ね、ソロも含めて全員を息が途切れないように導いていくところなども感嘆し、正面から見ていてその巧みな指揮ぶりがよくわかった。

くにゃくにゃとした掴みどころのないトゥーランガリラその3だけど、なんか聴いてて日本の舞踊のようにも思った、かわいいな。

みんな大好き、盛り上がる終楽章。
こうなるともうワクワク感が止まらず、目線もあちこちきょろきょろと忙しくて、お馴染みのメンバーさんがどんな風に弾いてるかなども見つつ、分厚かった指揮台のスコアがあと数ページの分量に減っていくのもみつつ、あ~もっと続けと思ったりもした。
そしてついに「愛の主題」が全力で高らかに響き渡る。
もうね、こりゃたまらん、ゾクゾクっとしましたよ!
メシアンの音楽は快感。快楽、神妙さ、そんな感覚を呼び覚ましてくれるんだ。
実演で聴くとほんとにそう確信できる。
すんばらしい演奏だった!!

欲をいえば、ミューザの民よ、とくに上の方、拍手早すぎたよ。
沼尻さん、まだ手を降ろしてなかったし。

Muza-kana-01

若さみなぎる北村さんの精度の高いピアノ。
メシアンのほかのピアノ作品も聴いてみたいし、リストとノーノを組み合わせたCDなんかも出てるみたいだ。
かつてのベロフや、ルドルフ・カーロスのような存在といっていいかも。
その名も知らなかった自分を恥じる思いです。

オンド・マルトノの世界的な権威者、原田さんあって、トゥーランガリラが成り立つといってもいいかもしれない。
大河ドラマ「伊達政宗」のいまでも耳に残る主題曲でオンド・マルトノを弾いていたのも原田さん。
時空を超越してしまうかの感覚を呼び覚ます、不思議な楽器をかくも音楽的に操る名手。
この先もトゥーランガリラに欠かせない方ですね。

Muza-kana-02

リズム感と歌心を充分に意識して堪能させてくれた沼尻さんの指揮。
オーケストラとの親密度も高く、楽章間での呼吸の取り方や、奏者たちへ思いやりあふれる様子など、神奈フィルといまとてもいい関係にあると確信。

Muza-kana-03

石田コンマスが君臨するときの神奈川フィルの覇気に満ちたサウンドと、持ち前の美音が、これほどまでにメシアンの音楽を彩り豊かに聴かせるのだと強く思った。
旧知のメンバーさんも多くいらっしゃいますが、若い奏者もとても増えて、美しい音も持続しつつ、つねにフレッシュ感あふれる神奈川フィル。
 こんかいの演奏が1回限りなんてもったいない。
みなとみらいホールでも聴いてみたいと思いましたね。

暑い夏と、閉塞感あふれるいまの世情や政治をひととき、ふっ飛ばしてくれた快演でした、ありがとう!

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コメント

本当は聴きに行きたかったトゥランガリーラ!でも19:00開始では日帰りできないので涙をのみました・・・。
神奈川フィル、確かに色彩的で線がくっきりした作品に似合いますよ、いくつか聴けたゲンダイもので相性は感じていましたから。アアッyokochanさん羨ましい!
しかし沼尻さんがシェフになってからホントよくなった神奈川フィル。10月のノヴァーク第2稿楽しみです。
※3階席、チケットが安価なのと(トゥランガリーラ初聴きの人が多かったのでは?)、残響が2階席までと比較すると少し短いので、フラ拍があったのでは-と推察します。安い席ではママあり。N響のマラ8もそうでした。

投稿: IANIS | 2025年8月11日 (月) 19時36分

IANISさん、まいどです。
なにかとあり、コメント返信遅くなりました。
前から神奈川フィルはメシアンがきっといいと思ってました。
次は大作、「彼方の閃光」なんかいいと思ったりもしてます。
一転して次の沼尻&神奈川フィルはブルックナーとなります。
かつての若杉さんのように、期せずしてメシアンからのブルックナーということで、期待大です。
なるほど、残響の関係なのですな。
いずれにしてもゆっくりと楽しんでもらいたいもので・・・

投稿: yokochan | 2025年8月21日 (木) 10時35分

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