東京交響楽団定期演奏会 コリンズ指揮

クリスマスも近づき、ますます雰囲気豊かなサントリーホール前、カラヤン広場。
この日はともかく気温も下がり寒かった。
でも熱気と若さあふれる演奏で、帰り道は頬が火照りましたよ。
東京交響楽団第737回 定期演奏会
マルサリス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
アルベニス アストゥリアス(伝説)~アンコール
Vn: 大谷 康子
コープランド 交響曲第3番
ロス・ジェイミー・コリンズ指揮 東京交響楽団
コンサートマスター:景山 昌太郎
(2025.12.13 @サントリーホール)
大谷康子デビュー50周年記念の定期演奏会。
そして本来なら秋山和慶さんが指揮する予定だったが、年明けの驚きの訃報・・
長く東響のコンサートマスターを務めた大谷さんが、今年各オケでいろんな協奏曲を弾いてきたなか、もっともチャンレンジングな作品がマルサリスでありましょう。
親愛を込めて大谷姐さんと呼びたくなるくらいに明るくチャーミングな彼女、コンマス席以外では、だいぶ以前にメンデルスゾーンを聴いて以来だし、新潟の遠征で地元のCDショップで偶然にお会いし、ちょっとだけ会話したことがあります。
あと大谷さんは柴犬が大好きとのことで、いつも見ていたyoutubeの「柴犬小春」というネット番組に突然登場して超絶驚いたものです!
そんな親しみあふれる大谷さんのマルサリス作品。
ジャズのイディオムと正当クラシック様式との融合。
大好きなニコラ・ベネデッティ(ニッキー)のために書かれ、そのCDは昨年に何度も繰り返し聴きブログ記事にも残しました。
本日のプログラムを演奏開始前直前にさらりと読んだら目が点に。
そのニッキーがマルサリスと結婚していて、子供まで授かったとのことが書かれていた。
ファンのワタクシとしては、そのことに驚き、真っ赤なドレスの大谷さんが登場して静かに曲を弾き始めても、ちょっと上の空だったのです・・・
でも、安心してください。
こんなナイスな音楽を作るミュージシャンと、さらなるコラボレーションが期待できるじゃないか、と思いを新たに眼前の演奏に聴き入るのでした。
1楽章の平安感じるおおらかなメロディを麗しく聴かせてくれた大谷さん、ほんといいメロディだなぁと思いましたね。
この楽章の終わりに、終楽章の前触れがあり、期待が高まる。
2楽章でオケがかもし出す多様な世界、東響の打楽器陣の切れ味のよさ、喧騒がヴァイオリンソロの音を打ち消すことなくコリンズ君も巧みにコントロール。
長い超絶的なカデンツァも聴きごたえあり、相伴したドラムも実に素晴らしかった。
前章から流れるように続く3楽章ではさらにブルーな雰囲気のジャズっぽくなるし、木管などの合いの手の巧みなもので感心することしきり。
静かに憂いを含んで3章が終わると一転して誰しもウキウキしちゃう4楽章。
楽員さんの多くが足を踏み鳴らし、手の空いた方は手拍子もしつつ、大谷姐さんは楽員さんたちとの競演を楽しそうに、しかも超絶パッセージをものともせず弾きまくる。
フィドル奏法もここでは極まれり、憂愁もそこにはさしはさんで多様な奏法、さまざまな音色に表情が続出。
あー、楽し~い、と思いつつヴァイオリンソロといろんなことやってるオーケストラの皆さん、ノリノリのコリンズ君などを見比べておりましたよ。
そしてラストのフェイドアウトシーンは、舞台袖に去っていくかと思っていたら、なんと弾きながら音も弱めつつステージを降りてこっちへ向かってくるじゃありませんか!
ワタクシのほぼ3列前ぐらいまでいらして、ヴァイオリンの音は再弱音となり静かに曲を閉じました。
面白かった!
いつまでもチャレンジ精神を失わない若さと、持ち前のあかるさが、マルサリスのナイスな作品にピッタリとはまりました。
オーケストラとも顔を見合わせながら旧知の仲良しぶりがわかり、ステージに戻るときにベテランの田尻さんが、さりげなく手を差し出していたのも微笑ましかった(コリンズ君も手をのばしたが、大谷さんは田尻さんに手を添えました)。
アンコールのアルベニス作品をヴァイオリンで聴くの始めてかもですが、スペイン臭満載の異国情緒味わえる、これまた超絶技巧の作品であり、すてきな演奏でした。
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イギリス生まれ、フィンランド育ちというコリンズは2001年生れの24歳の新鋭。
NDRフィルの副指揮者の任にありレパートリー拡充中で、すでにおおくの欧米オケを指揮しているし、ピアノにも長け、バリトンの声も持っているとういう多彩な才人だし、さりげないピアスもお洒落なイケメン君です。
コープランドの大作第3交響曲は、シリアスであると同時に、やはり交響曲の常套を踏んだ勝利宣言を最後に持つ本格交響曲だと思う。
打楽器多数、ハープも2台に、ピアノも加わるフルスペックの大編成。
懐かしさ漂う曲の出だしから、前のマルサリス作品とはまったく違うアメリカの草原や広大な自然の景色が見えてきた。
コリンズ氏、なかなかスッキリと雑味なくオケを鳴らすし、耳のいい指揮者だなと曲が盛り上がりをみせつつ進行するなか思いました。
2楽章の無窮動的なスケルツォは、大編成のオケがいろんなことをやっていて楽しかった。
ピッコロ2本というのも初めて見たし、打楽器も大活躍だ。
コリンズ君もリズム感いいし、中間部の牧歌的な運びもうまく対比が出てたし。
一転、深刻なムードに包まれる3楽章、とりとめない曲の運びに、いつあのファンファーレの兆しが出てくるのかと心待ちにしていた自分。
しかしそこに至るまでが案外と長いし、コープランドらしい弾むような中間部も楽しめた自分。
この楽章がもう少しアパラチアの春的な抒情味にあふれていたら、作品としてもっとわかりやすく有名になっていたかも・・・なんて思った。
そしてあのファンファーレが始まり、ブラスが輝かしく鳴り響き、ティンパニがかっこよく決め、ドラが響き渡る。
この解放感は気持ちがいいし、キターって感じだったし、東響は冴えまくってた。
テンポを上げて弦楽器が駆け巡り、さらに目まぐるしい展開が続き、コリンズ君も右に左にと忙しくしてる。
ピッコロの爽快なる活躍を経て、徐々にあのファンファーレ主題を用いて盛り上がってゆくさまは壮観であり、興奮と快感を呼び覚ますものであった。
もう、コリンズ君も東響のみんなも、カッチョええーぞ、と思いつつ大エンディングとなりましたよ。
大きなブラボーに包まれました。
もちろん、曲が終結して、しばしの間ののちに。
わたくしも、一声、参加いたしました。
またどこかで聴いてみたいと思わせるコリンズ氏。
世界のどこかのポストに就くかもしれず、楽しみです。
しかし、プログラムのせいなのか、代役が無名だったからなのか、年末の土曜のせいか、お客さんは少なめでした。
定期としては1度限りのものだったし、なんといっても大谷康子さんのマルサリスが聴けるという貴重なコンサートだったのに。
私は、超絶、楽しみましたよ!
過去記事「マルサリス ヴァイオリン協奏曲」
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コメント
珍しいプログラムの演奏会聴いてらっしゃるなぁ、と思ったら、yokochanさんが東響の定期会員だったんだと思いだして納得。
今年の東響、ほんと色々な曲目とりあげてますね。新潟にいたらコープランドの第3なんて絶対に聴けない!羨ましすぎますよ(20世紀アメリカの交響曲中、バーンスタインと並んで最重要作だと思ってます)。
大谷さん、ニコラさんのために書かれた50分近い曲をよく弾いたもんだ。まぁ、あのとおり元気快活な人だから当然か?
それにしても東響の若手指揮者を見つけ出す眼力は凄い。
ロレンツォ君、アダム君、そして今回のコリンズ君。若い人が出てきてイイ演奏をしてくれると、未来への希望が湧いてきます。
投稿: IANIS | 2025年12月16日 (火) 16時52分
IANISさん、まいどです。
そうなんです、サントリーホール定期の会員になったものですから、全部聴いてます。
こうしたプログラムや、期せずして新星演奏家に接することができるのもありがたいです。
コープランドは来年いろんなオケでやりますね。
オケのレパートリーも、ポストショスタコーヴィチに移りつつある気がしてます。
マルサリス作品、まさに大谷さん向きの作品でして、あのクセになるくらいのリズム感や抒情性もよく弾きこんでて、ともかく楽しかったです。
ライブ録音して欲しかったですね。
来期以降のヴィオッテイ治世で、ステージオペラを復活させて、姉弟競演の実現を期待したいです。
投稿: yokochan | 2025年12月19日 (金) 08時57分