東京交響楽団定期演奏会 原田慶太楼指揮
サントリーホールまで新橋から歩きました。
途中ホテルオークラとアメリカ大使館の間の霊南坂を抜けて歩きます。
そこで見つけた桜と大使館で1枚。
風がなく、星条旗はなびいてませんでした。
コンサートの前半がアメリカ音楽なので、このルートを偶然あるいてニンマリした自分です。
東京交響楽団 第738回 定期演奏会
コープランド 「アメリカの古い歌」第1週
バーンスタイン 「チチェスター詩篇」
カウンターテナー:彌勒 忠史
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 ニ短調 op.47
原田 慶太楼 指揮 東京交響楽団
東響コーラス
合唱指揮:根本 卓也
コンサートマスター:小川ニキティングレブ
(2026.3.28 @サントリーホール)
なかなかにユニークなプログラムで、こういうの好き。
しかもいつも機会を逃していた私にとっての初・原田慶太楼だったんです。
いやぁ、面白いコンサートだった。
アメリカで多彩に活躍してる原田さん、オペラ、声楽系にも強いことがまさによくわかった演奏会。
前半はアメリカ、後半はソ連。
この対比が曲目も演奏も鮮やかだった。
そして3つの作品に通じるのは自作であることはもちろんだが、バーンスタインという音楽家であること。
バーンスタインの朋友でもあり、作曲家の先輩でもあったコープランド。
「アメリカの古い歌」という作品は初聴きの合唱曲でした。
19世紀のアメリカの民謡や讃美歌、古謡・ミンストなどを歌曲として編曲、独唱曲集だったものをのちにオーケストラ版にしたもの。
アパラチアの春に出てくるメロディも出てきて懐かしいムードも満載。
5つの曲がそれぞれに特色あり短いながら楽しい作品だった。
メリハリつけてわかりやすい音楽造りをした原田氏、いつものように暗譜で熱心に歌う東響コーラス。
曲によっては、パフォーマンスも伴いながら楽しく歌うさまに、われわれもほっこりしましたよ。
そしてシリアスな宗教曲のジャンルにあるチチェスター詩篇。
コンサートでは初めて聴くし、今宵のコンサートではいちばん楽しみだったし、いちばん心動かされた演奏であり音楽だった。
また昔話しで恐縮ですが、1975年8月9日にショスタコーヴィチは亡くなりました。
8月13日、バーンスタインはロンドン響とザルツブルク音楽祭に登場するのでしたが、ショスタコーヴィチ追悼のため、急遽、交響曲第5番の3楽章を演奏したのでした。
前半がその追悼演奏、本来のプログラムのチチェスター詩篇、弾き語りでモーツァルトのK453。
後半にシベリウスの第5番。
このように前半がやたらと長い演奏会となり、この模様はその年の年末にNHKFMでも放送され、私も興奮隠せずエアチェックに成功したのでした。
いまでも自家製CDRとして大切にしてます。
16分もかけたショスタコーヴィチの3楽章の深遠極まりない演奏には驚嘆します。
そして、初めて聴いたチチェスター詩篇で、バーンスタインの音楽のメロディのわかりやすさと、ダイナミックさ、静謐さなど、高校生ながらに何度も聴いて感銘を受けていたものです。
そして実演で聴くと指揮者の姿があの踊るようにして指揮するバーンスタインとかぶって見えてくる。
冒頭からバーンスタイン色全開の音楽で、爆発的な喜びを発散するかのような合唱に、打楽器を伴った輝かしい金管に心躍った。
2章で立ち上がった彌勒さん、真摯かつ神々しい声で、氏の声を聴くのはもう17年ぶり。
手持ちで聴ける音源では、ほとんどがボーイソプラノなので、無垢なる天上の声のように思って聴いているが、カウンターテナーで聴くとまずうまい!その第一印象となりました。
そして同時に思ったのが、ブリテンの音楽のように聴こえてしまったこと。
どこか怪しく、そして一方で厳しく痛恨でもあるように。
その後のシリアスな3章へと続く流れもこの歌唱であれば実に自然だと思った。
このあたりの対比は原田さんの指揮も実によくって、このシリアス感の中から見出される平安の調べへの移行も実にスムースで、感動のあまり涙ぐんでしまった。
同時にバーンスタインの音楽のうまさ、天才性も実感。
ヘブライ語による東響コーラスの共感あふれる合唱もほんと素晴らしかった。
詩篇・ダヴイデ、旧約、ユダヤ教ということになるが、ここでバーンスタインが祈りとともに込めた平和への思い。
それがいま、世界を混沌に陥れているのがユダヤの国であるという事実に、天上のバーンスタインはどう思うだろうか・・・・
曲が静かに閉じると、ホールは静寂のまま。
この「間」がほんとうに美しいと思いました。
後半は、みんな大好きショスタコ5番。
前に書いたこと「若い若い頃に聴きすぎて、長じて大人となってからは、どうも醒めてしまった名曲のひとつ。ともかく大好きになって、中・高時代に聴きすぎた。演奏会では、大物指揮者でいくつも聴いたものの、いずれもぼんやりと聴いてしまうのでした。」
こんな自分ですから、うまいこと印象が書けません。
まず、とてもスタイリッシュであり、客観性もあり、オーケストラの奏者たちの技量の高さもあってとてもいい演奏でした。
マゼールに学んだ原田さん、だからその影響もあるかと思い、遠い昔のニューヨークフィルとの来演でのその演奏をblogを読み返したりして思い出したり、クリーヴランドとの音盤なんかも確認してみた。
だがいい意味で原色にそまった、いつものナイスなマゼールらしい変幻自在の演奏とはまったく違う正統派の演奏だった。
またバーンスタインが愛したこの5番、ふたつの音盤にあるこれもまたバーンスタインらしい思い入れたっぷり、熱血演奏ともまったく違う素直でありつつ自然な盛り上げとスピード感や立ち上がりのいい演奏だった。
私がいちばん気にいったのは、やはり3楽章。
弦がいろいろに分奏するのも拝見していて発見があったし、なによりも抒情的で音楽が隅々まで美しく、磨きあげられた音が清冽にも感じた。
2楽章の終結でテンポを思い切り落としたのはユニークだったし、終楽章のフィナーレでは快速にならず、堂々たる歩みでホールを圧する響きを聴かせてくれた。
合唱団が抜けたP席はすっきり寂しめ。
音響もより響いて感じました。
熱い拍手に応え登場したマエストロ慶太楼氏。
東響の正指揮者の任期最後ともあり、感極まって思わず・・・
わたしもグッときてしまいました。
愛される指揮者、また東響で聴いてみたいと思います。
神奈フィルでのコープランドが聴きものだ。
帰りは桜通りを散策して余韻にひたりました。





















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