サマーミューザ 東京交響楽団 ヴィオッテイ指揮
今年も始まりました盛夏の音楽フェスタ、サマーミューザ🎵
オープニングコンサートはミューザ川崎のレジデントオケの東響とその音楽監督。
昨年までのジョナサン・ノットに変わり、新音楽監督のロレンツォ・ヴィオッテイ。
ヴィオッテイのサインありました
安藤広重の東海道五拾三次之内 「川崎 六郷渡舟」のコラージュ作品。
印象派の芸術家に大きな影響も与えた日本の浮世絵から、1曲目のドビュッシーにつながるという。
フェスタ・サマーミューザ
東京交響楽団 オープニングコンサート
【オープニング・ファンファーレ】
三澤 慶 「音楽のまちのファンファーレ」
ドビュッシー 「牧神の午後の前奏曲」
R=コルサコフ 「スペイン奇想曲」op.34
交響組曲「シェエラザード」 op.35
ロレンツォ・ヴィオッテイ指揮 東京交響楽団
コンサートマスター:小川ニキティングレブ
(2026.7.25 @ミューザ川崎コンサートホール)
開始前にヴィオッテイによるプレトークがあり、3つの演目について、それぞれイマジネーション、フェスタ、ファンタジーとわかりやすく説明。
ホール全体を見回しつつ、そして翻訳の女性への気配りも忘れない紳士なヴィオッテイの性格のにじみ出た話とその雰囲気でしたね。
この話を聴いたうえでの演奏会でしたので、なんだか彼の意図やこのプログラミングの妙なども大いに符合することなり、ナイスなトークでした。
また従来はホール前で開催されていたファンファーレが、コンサート会場で演奏されるようになり、昨年までは入場制限などでたどりつけなくて残念な思いをしていたので、とてもありがたく、暑さのほてりを覚ます耳へのインターバルとしても有効なのでありました。
①牧神は、指揮をせず、フルート奏者とハープに任せるという、この前のブラームスの緩徐楽章のような所作で開始した。
知久さんのソロがヴィオッテイの意を受けて繊細かつ柔和なサウンドで、その後の柔らかさを失わない弦楽器のまろやかな音色、曖昧で境界線のない真夏の物憂さはここにはなく、音はみんな鮮明でフレッシュだった。
プレトークで目を閉じて感じて聴いて、と語っていたが、そうはしなかったものの、私にはこのドビュッシーはブルー系のクリアな世界を思わせるものだった。
夜想曲も得意にしているので、いずれは聴きたいものです。
②金管・打楽器が補充され、一転して華やかなる世界に一変。
こんなに違うものかと驚くも、わが耳は一瞬にしてR・コルサコフの魔術に囚われ、ヴィオティの踊るような軽やかな指揮、東響のノリノリのソロや見事なアンサンブルにくぎ付け。
ヌブー氏の軽妙なクラリネットは絶妙で、彼はシェエラザードでも絶好調。
この曲、今年はルスティオーニと都響のラテン的な解放感あふれる演奏を楽しんだばかりだが、音のフレッシュさと勢いではヴィオッティ東響の方が上だったかな。
2曲目の変奏曲夕べの祈りでのさりげない抒情と夏を感じさせるムード、ジプシーの歌、うねるようにしてオーケストラ全体が盛り上がってゆくさまが、生き生きとしたヴィオッテイの指揮姿とともに抜群の高揚感だった。
巧みなアッチェランドでドライブしまくる指揮者と夢中だが完璧の東響。
暑さ吹っ飛ぶ駆け抜ける爽快感に快哉なのでありました!
③シェエラザードは昨年のウィーン交響楽団との音源を聴いているが、そちらは42分ほどで、今回は計測してないがタイムも伸びて、より恰幅がよくなった気がする。
スペインにも増して、各ソロたちの活躍も目立つ作品だが、要所要所で指揮を止めてしまうヴィオッテイはもうそれが彼のスタイルなのか、東響も緊張感を超えて自主的な演奏で実に見事に応えていたと思う。
第1ヴァイオリンの背後の席だったので、ニキティンコンマスのソロがやや遠く感じたが、それでも彼独自の音色の美さ、歌いまわしの巧みさはよくわかりました。
一方、正面から聴くチェロ首席の伊藤さんのソロは力強く音が明快。
ミューザは音の全体の溶け合いを楽しむホールなのだな。
さて、物語りの始まりは穏やかで、その語り口もマイルドだった1楽章。
自然な盛り上げも豊かな音楽性を伴い、無理なくクライマックスを築き上げる手腕と耳の良さも感じた次第。
繊細なニキティンソロに次いでカレンダー王子登場のファゴットソロは福士さんで、それはブリリアントで見事な音色、この日のファゴットは終始ステキだったな。
2楽章でのオケの名技性も光りました。ソロとトッティが交錯しつつ音楽が盛り上がってゆくさまは、CDでは楽しめない実演ならではのこうした曲の楽しみなのだ。
大好きなロマンあふれる3楽章。
こうした情緒あふれる音楽を、サラリと嫌味なく演奏できるのはヴィオッテイの生真面目な感性なのだろうか。
もっとネットリした語り口の演奏の多いなか、このサラッとした肌触りの音楽は実に爽やかで、東響の弦楽セクションがとても美しかった。
そして、この日の隠れた立役者のひとり、スネアの網川さんの強弱のあらゆる限りを尽くした巧みなる演奏で、コルサコフのスコアの奥行の深さは打楽器の鮮やかな使用にあると思うのだが、ほんとステキだったし、指揮者も大いに讃えてましたね。
同時にピッコロも、この曲では大活躍をするが、お馴染み濱崎さんは、この日も鮮やかかつ正確極まりない演奏で、終楽章の盛り上げに大いに寄与してましたし、ヴィオッテイも彼女を立たせてましたね。
その終楽章は、まさに物語りの総決算・大団円とも呼ぶべき活気とカタストロフィ感あふれる出来栄え。
熱気のなかにも冷静さを保った指揮ぶりだけれど、大振りはぜずとも書かれた音楽にすべてに物語らせる的な、ある意味客観性も感じた演奏でもあり。
静かに迎えた終結に息をひそめて集中、ここでも拍手のタイミングはよろしく、しばしの静寂があり好ましい。
指揮者もオーケストラも会心の出来栄え。
この先、また演奏する機会もあるこのシェエラザードだろうが、また違う物語を見せてくいれることでしょう。
それだけ、このまだ若いヴィオッテイに期待したいし、ひとりの音楽家の成長を見守ってゆくとういう、音楽ファンの楽しみをこのコンビに見出しつつあるのです。
終演後は、お馴染みの音楽仲間と一献。
夏野菜、こんなのでいいんだよ、夏は。
情報豊富な皆様のヴィオッテイにまつわるお話しから、アーノンクールの「7つの封印」のライブでは合唱に加わっていたこと、ティーレマンとウィーフィルの2003年の来日に打楽器奏者として参加していたことなど、驚きの情報を得ました。
だからウィーンとは近しい存在なんですね。
チューリヒでオペラ指揮者としてさらに腕を磨いたあとは、ウィーンで・・なんていうコースもありかもです。
いや、なんたって、日本での東響のポストが始まったばかり、ずっと続けて、その演奏をわれわれ日本で残していって欲しい。
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コメント
いい演奏会でしたね。特に「シェエラザード」の木管セクション。荒-ヌヴーー福士そして濱崎さん(彼女のピッコロ、最高!)、もう鉄板でした。そして網川さんのスネア。彼女のアンサンブル全体のバランスを考えた演奏は抜群でしたね。エバーグリンSOの小太鼓がうるさかったものですから「これぞプロ!」の演奏だと改めて感じました。
ロレンツォのウィーン・フィルの打楽器エキストラ、2011年みたいです。年は取りたくありません…。
投稿: IANIS | 2026年7月26日 (日) 15時41分
IANISさん、まいどです。
東響のメンバーの技量と音楽性の高さが引き立つ、そんな演目であり、またヴィオッテイの指揮ぶりでしたね。
香港フィルもそうなんですが、台北のオケも打楽器は元気がよろしいようで、日本の奏者の巧みさは気質にもあるかもしれませんね。
ウィーフィルエキストラ、Y旦那さんの先日の話ですと、田園と英雄の生涯のときとのことでしたので、やはり2003年だと思われます。
ともあれ、日本とのゆかりも大切に思っているロレンツィオ氏ですから、これからいろんな作品にチェレンジして腕を磨いていって欲しいです。
投稿: yokochan | 2026年7月27日 (月) 14時41分