札幌百合が原公園のダリアの品種、色とりどり。
おおぶりのピンク。 花を冒頭に。 そう、今日は、女声歌手。 それも最愛の、パトリシア・プティボン の新しいCDなのです。 2度の来日を、それぞれ聴き、間近に彼女のお姿を拝見したけれど、おしゃれな彼女、そのドレスは白や渋めのシルバー、ブラックやパープル、モスグリーンといたってシック。 さすがは、フランス女性です。 来日した彼女は、街ゆく日本の女性の姿をみて、黒の使いかたや、思わぬ色の着こなしにとても感心してました。
だから、ここにある2枚のダリアの色は、プティボンご本人のイメージとは異なりますこと、申し添えておきます。 この色の洪水の中にあったパープル系は、惜しくもろくな写真しかありません。 こんなんです。 いまいちすぎますが、中央の渋いところが彼女好みの色かもです。 ベルクの「ルル」では、どぎつい演出もあって、キツイ赤をまとってますが・・・・。 今回のパトリシア・プティボンの1枚は、スパニッシュです。「Merancolia」~メランコリア 、Spanish Arias & Songs。 幅広いレパートリーと柔軟性を持つチャーミングな彼女、仏・独・伊・西・米・英と広範に各国の歌を歌います。 来日の際には、「さくらさくら」も歌ってくれましたから、もしかしたら日本の歌もいけちゃうかもです。 前にも書いたけれど、山口百恵(アリス)の「秋桜」を是非とも歌って欲しいと思ってます。 知的で、努力家、チャレンジ精神と、プロとしてのサービス精神の横溢したプティボンさまなのです。 メランコリア(メランコリー)は、憂鬱な、ちょっとアンニュイで落ち込んだ気分。 そんな気分の歌や、逆に、そのメランコリーな気分を晴らそうと陽気に、明るくふるまうような歌の数々。 そんなスペイン、ポルトガルやブラジル、フランスのラテン系の歌を集めた洒落た1枚。 CDブックレットの中で、ゆかりある方々のお名前をあげて感謝の彼女の言葉が書かれてます。
1.グラナドス 「ある女の眼差し」 2.モンサルバーチェ 「黒人の子守歌」 3. 〃 「黒人の歌」 4.ホアキン・ニン 「エル・ヴィート」 5.ヴィラ=ロボス 「ブラジル風バッハ第5番」 6.トゥリーナ 「カンタレス」 7.ヒメネス 「タランチュラは悪い虫だ」 8.ゴメス&サアベドラ 「アディオス・グラナダ」 9.ファリャ 「いながら楽しくこの世を過ごし」 10.トローバ 「ぺテルナ」 11.グラナドス 「ああ、私の命のマホ」 12.シメオン 「マリネッラの歌」 13.ブラガ民謡 「Odunge - uaerere」 14.バクリ 「ア・ラ・マル」 15. 〃 「シレンシオ・ミ・ニノ」 16. 〃 「ハイ・クワイエン・ダイス」 17. 〃 「ソロ」 パトリシア・プティボン ギター:ダニエル・マンツァナス パーカッション:ジョエル・グレア ピアノ:スーザン・マノフ ジョセプ・ポンス指揮 スペイン国立管弦楽団 (2010.9.25@マドリード) ① ある女の眼差し、とはゴヤの書いたマハのこと。 グラナードゥスの「トナディーリァス」から「嘆きにくれるマハ」を歌っておりまして、冒頭からかなりアンニュイな感じで、ギターも物憂いです。②と③ は、スペインの作曲家モンサルバーチュの曲で、カリブのヒスパニックの音楽をスペインに紹介することに熱意を燃やした。「5つの黒人の歌」から。 しっとりとした②に、機関車のギコギコ走る擬音が面白い③は、飛ぶように歌うパトリシアのお姿が目に浮かびます。④ は、有名な「EL vito」。ギターとパーカッションをバックに語りかけるように歌うパトリシア。やがて、リズムが動きだし、いやでも雰囲気が増してきて、彼女の魅惑的な歌声に早くもノックダウンすることとなります。 この曲は、ベルガンサやカバリエもよく歌ってました。 プティボンが選んだバージョンは、キューバのホアキン・ニンのものです、凝ってます。 そして、有名なる⑤ はヴィラ=ローボスのアリア。 まるで耳元で、歌ってくれているかのようなパトリシアのハミングボイス。 軽やかなコロラトゥーラも味わえる、蠱惑的な歌声。 ⑥ はトゥーリナの「カンシオーネス(カンツォーネ)形式による詩曲」から。 アンダルシアの雰囲気ムンムンの曲に歌唱にございます。 ⑦ ヒメネスのこの曲は、やたらと有名。 おきゃんなプティボンのあのおどけた顔が浮かびます。 アイアイアイ・・・、のプティボンはやたらとカワユイのでした。 ⑧ 「Adios Granada」は、ギターにパーカッション。フラメンコ調のカンタオーラのようなプティボンの歌いぶり。その多彩な才能に舌を巻きます。まさに、スパニッシュ! 参りました。。。。。 ⑨ ファリャのオペラ「はかなき人生」からのサルーのアリア。 気の毒な貧乏暮らしのヒロインが、悲しげに歌うアリアだが、さすがにプティボン。 オペラのひと場面ながら、没入ぶりが違う。 ⑩ トローバのサルスエラ「La Marchenera」からの曲。哀感ただよう曲調は、最後は急速にテンポと力を増して、劇的に締めくくりますが、このあたりの急転直下の様変わりぶりもパトリーの面目躍如たるところ。 ⑪ ①と同じ曲集から、ここでも、マハの熱くて物憂い眼差しを感じますな。 炎のような瞳で見ないでよ、と歌ってます。 ⑫ シメオンのサルスエラ「La canción del olvido」からの歌。 民謡調の単純な歌ながら、ギターとカスタネットがいい雰囲気を醸し出します。 ⑬ 乾いたドラムと鈴がエキソティックな出だし。ポルトガルの歌です。 妙に郷愁そそる音楽は、サウダージの世界でしょうか。 プティボンの朋友マノフ女史のピアノがここで活躍。 ⑭~⑰ フランスの現代作曲家バクリが、プティボンのために書き下ろした作品。「Melodias de la Melancolia」 と題された4つの歌曲。 パクリの曲は、ほかの曲が前回の来日でもプログラムに組まれていたが、プティボンの声質を知りぬいたその作風は、抒情的かつ繊細で、とても聴きやすい曲です。 フランスの作曲家だけれど、作詞家はコロンビア出身のモリーナという人で、これでもってフレンチとスパニッシュのブレンドが味わえるとバクリさんは語ってます。 切なくなってしまう⑭、あまりに美しい⑮、劇的で、ルルをも歌うようになったシャウトするドラマテック・プティボンが味わえる⑯。 このアルバムを総括するかのような⑰。 涙でも笑いでもない、歌や詩でもない、叫びや祈りでもなく、響きや口づけなんかでもない。ただ、わたしの甘味で知られたくないメランコリックなメロディなの・・・・・と歌います。 1曲1曲が、全体のなかで意味合いを持ちあっていて、それらが大きくスパニッシュというくくりに包括されている。 こうした企画力は彼女だけのものでないにせよ、歌でもってこれらを明快に描き分ける天性の才能には、ただただ脱帽です。 いったいいくつの顔を持っているんでしょうね、パトリシアさまは
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DGのサイトより拝借の録音風景。 このCDについても、語ってます。
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大人の雰囲気たっぷりの「EL Vito」 をお楽しみください。 毎回1枚1枚、嗜好の異なる素敵なCDをリリースしてくれるパトリシア。 早くも、次作が楽しみです。 きっともう録音準備に入っていることでしょう。 そして、なにより、まだ先だけど、再来年は日本にやってきますしねパトリシア・プティボンの過去記事 →こちら
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