レオンカヴァッロ ピアノ曲集 ミュラー
もう一月まえだけど、ハロウィンの晩のダイアモンドヴェール東京タワー。
あの仮装姿とことに澁谷の喧騒はどうかと思うが、日本のハロウィンは、世界にも稀なお祭りとなったことは事実で、これはこれで平和でよいことであります。
しかし、世界は不穏です。
それはともかくとして、明るく伸びやかな音楽を。
レオンカヴァッロ ピアノ作品集
①Romanesca
②Serenade-Valse for Piano Deux Pieces de style Arabe
③Sous les palmiers ④Bohemienne
⑤Tarantella ⑥Gondola
⑦Pantins vivants ⑧Barcarola veneziana
⑨Minuetto ⑩Valse mignonne
⑪Cortege de Pulcinella ⑫Au bord du Lac
⑬Papillon ⑭Invocation a la Muse
⑮Valse a la lune
ピアノ: ダリオ・ミュラー
ルッジェーロ・レオンカヴァッロ(1857~1919)のピアノ曲を。
いうまでもなく、「パリアッチ」=「道化師」の作曲家のレンカヴァッロですが、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」とともに、そしてセットで、「カヴァ・パリ」とひとくくりにされて、ヴェリスモオペラの代表作とされるが、彼らふたり、ことにレオンカヴァッロの方は、それ以外の作品がまったくといっていいほどに日陰者扱い。
わたくしは、ヴェルディ以降の、プッチーニ世代のイタリアの作曲家たちを、こといふれ聴くようにしていて、レオンカヴァッロについては、もうひとつの「ラ・ボーエム」や、美しい「五月の夜」を取り上げたりもしたほか、いくつかのオペラを聴いていて、いつか記事にしたいと思ったりもしてます。
そんななか、ここ半年ほど、ながら聴きなどもしながら馴染んできたのが、ピアノ曲の数々です。
レンカヴァッロは、なかなか多才な人で、作曲家であると同時に、脚本家でもあり、自身でも優れたピアニストでもあった。
若い頃のパリでの生活では、歌唱のレッスンとともに、カフェでのピアノ弾きを楽しんでいたようで、この頃(1882~89)の体験も、そのオペラやこちらのピアノ作品などに生かされているわけであります。
このCDに収められた15曲に、ひとつひとつ印象を語るのはやめときますが、全曲、ともかく歌心にあふれ、簡易な優しいメロディーなので、1度聞いたらすぐに覚えちゃう、いや、どこかで聴いたことがあるような曲だと思えちゃうし、センチメンタルな切ない曲なんかもあって、お酒なんかを嗜みながらぼんやり聴くのもいいのだ。
そんななかでも、特徴を、CDの解説などをふまえて述べれば、先に触れたパリ時代、その頃の19世紀末のサロンミュージック的なバラエティ豊かなおしゃれなテイスト。
そこにイタリアのオペラの伝統や、ローカルな民族音楽、コメディア・デラルテ由来のもの、などなどがふんだんに盛り込まれています。
あと、自身の作品からの転用もあって、「五月の夜」の3楽章から⑬とか、6楽章から⑭といった具合。
しかし、パリアッチからは、さすがにないのは、それ以前に大方が作曲されているからか・・・。
スイスのルガーノ出身のピアニスト、ミュラーは、明快なタッチで、とても心地よく、これらの素敵な作品たちを聴けせてくれます。
ドミンゴの「五月の夜」の余白に、ラン・ランがピアノ作品を2曲録音してますが、そちらはずっと雄弁で、実にうまいもんだと思わせますが、わたくしは、ミュラーの小粋な感じの演奏の方が好きだな。
レオンカヴァッロも、マスカーニも多面的に聴いてみて、その作曲家の神髄を味わってみたいものです。
過去記事
「五月の夜 ヴァグリエリ指揮」
「ラ・ボエーム ワルベルク指揮」
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