カテゴリー「ヴィオッテイ」の記事

2026年5月25日 (月)

東京交響楽団特別演奏会 ヴィオッテイ指揮

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先週に引き続き、東京交響楽団の新任音楽監督のロレンツォ・ヴィオッテイの指揮による演奏会。

サントリーホールからミューザ川崎に場所を移して双方のホールの響きの違いや、東響の音がどう響くなどを確認できた。

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創立80周年の東京交響楽団。

秋山和慶、スダーン、ノットと続いた歴代音楽監督の歴史に、新たな顔ヴィオッテイを迎え、踏み出したまた次の一頁。
その最初に立ち会うことができて、ほんとうによかったし、満足感で一杯のふたつのコンサートでした。

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 東京交響楽団特別演奏会 ヴィオッテイ音楽監督就任披露

    R・シュトラス 4つの最後の歌

      S:マリーナ・レベカ

    ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」

   ロレンツォ・ヴィオッテイ指揮 東京交響楽団
                 東響コーラス
         
         合唱指揮:河原 哲也
         コンサートマスター:小林 壱成

     (2026.5.24 @ミューザ川崎シンフォニーホール)

シュトラスとラヴェル、ともにオーケストラの作曲技法の限りを尽くした作曲家ふたり。
しかし、晴れやかな作品でなく、ともに内省的な局面もある音楽が選ばれたところが面白い。

世界のオペラハウスで活躍中の第1級のソプラノ、マリーナ・レベカは、この2日間のコンサートのために来日。
いくつかの音源で彼女の声は聴いてきたけれど、そのレパートリーはロッシーニやベッリーニ、ヴェルデイにプッチーニとイタリアもの、あと、私が気に入っていた役はオネーギンのタチャーナ。
琥珀色の声とも言いたくなるような魅惑の歌声なんです。
 シュトラスの絶美とも呼ぶべき彼岸の極にある歌曲集、透明感ある軽めなソプラノで聴くのが好きだけれど、レベカの声は軽やかさよりは、歌の深みを感じさせる豊かな中音域が実に説得力あるもので、その声域でのこの歌手の魅力を堪能できた。
L席という場所のせいなのか、高域がやや響かなかったが、正面で聴いた方はどうだったろう。
タブレット端末で楽譜を確認しながらの歌唱だが、横から拝見していて、ササっと入力操作して開くさまが実にカッコよかった。
 そして何よりもヴィオッテイ指揮する東響が絶対的に美しい。
シュトラウスオケであるこことを再認識したし、レベカを支えるシュトラウスの音楽の晴朗さ、軽やかさは、むしろオーケストラの側にこそあった。
ホルンも素晴らしかったが、小林コンマスの「眠りにつくとき」における絶美のソロには、涙が出てきた。
レベカもこのソロに耳を傾け、その美しさに浸っていたし、指揮者も同じくだった。
かつての昔に聴いた、横浜でのシュナイトと神奈川フィルのときの石田コンマスのソロの繊細さにも増して素晴らしかった小林ソロでした。
息がとまるほど、さらには遠くに思いや目線が行くほどに、感動したのが「夕映えのなか」。
レベカが美しく歌いきったあとの、去り行く夕焼けを思わせる最後、東響の木管の軽やかさはいかばかりか。
長い沈黙が支配した素敵なエンディングでした。

   ーーーーーーーーーーーーーーーーー

1時間を要するダフニスとクロエ全曲。
合唱入りの完全全曲盤でいどむヴィオッテイの強い意欲。
合唱なしでの全曲演奏は、もう20年近く前にプレヴィンとN響で聴いたことがあるが、やはりアカペラとはいえ合唱が入ることで、音の広がりと迫真性が格段にあがるというものだ。
 第2組曲だけでは味わえない、物語性のあるよどみなく進むラヴェルの佳曲を、ストーリテラー的に舞台に即したわかりやすい音楽づくりに終わることなく、すべての音を磨き上げ東響の実力を極限に引き出した、精緻で美しい演奏だった。

冒頭から混沌ではなく、明快なサウンドで原初的な新鮮な響きをかもし出す。
そこから合唱も声を強めて盛り上がりゆくさま、もうここからして私は鳥肌物だったし、そのあとすぐの弦による旋律の優美さともなう優しさ。
もうウットリでしたね。
そこから高まるフォルテの築き上げ方や、若者たちの踊りでのリズミカルな反応のよさ。
でもまだまだ抑え気味っだったし、曲は始まったばかりなのだ。
 ダフニスの恋敵のファゴットや金管によるユーモアあふれる場面も案外に淡々と進むが切れは実によろしい。
一方のダフニスの踊りのまったり感と優美さも、その対比として面白かったが、決して誇張なく、音楽的。
ダフニスも油断してしまうほどのお姉さんの登場も、外敵襲来の予見とともになかなか緊張の高まりを味わうこととなりました。

 このあと、戦いの踊りまではちょっとダレてしまう場面だけれど、神秘感の表出やウィンドマシンの効果的な使用などを眺めつつダイナミックな爆発を待ち受けました。
オーケストラがしばし休息し、アカペラ合唱によるミステリアスなシーン。
始めて聴いた高校時代は、夜に聴くと、ここ怖かった。
ヴィオッテイはそこそこの数の東響コーラスを充分に抑え込み、金管が不穏な雰囲気を出しつつ、海賊軍団の踊りへの備えを築く。
そしてきましたよ、金管の咆哮と打楽器軍団の炸裂。
その後ピッコロやクラリネットの狂乱ぶりも重なり、饗宴の度合いを高め、男声合唱も加わりスリリングな展開に息を飲みました、
でもまだ力は8分目ぐらいかな、と。
捉えられたクロエの許しを乞う踊りのシーンでの、管や弦のしなやかさと歌わせ上手、ラヴェルの筆致の見事さも味わえる。

 このあたりから、第2組曲へと向かって音楽が聴き知った夜明けへと準備を進めていくシーンの演奏の精妙さといったらなかった。
あのフルートによる流麗かつ清々しいモティーフがついに出てくると、私は鳥肌が立つほどの感動を味わうのでした。
そのあとの弦楽器による日の出の煌めくような美しさ、そこに合唱も加わり築かれる高まり、ほんと感動的だったし、ヴィオッテイ氏も大きく腕を広げて音楽を浴びるようにして指揮してました。
 そして、今宵のハイライトと言ってもよかった竹山さんのフルートによる無言劇。
ただただ美しく、透明でデリケートでもあり、素晴らしすぎた。
4人のフルートとピッコロによる息の合った掛け合いも素敵すぎた。
さあ、こうなるともう、全員の踊りの興奮の坩堝を待ち受けるばかりだ。
高まりゆく音楽の盛り上がりに、指揮もオケも合唱もすべてを全開、まさに歓喜爆発を見せてくれました。
この喜ばしい音楽が最後に待ち受けるようにして書いたラヴェルも素晴らしいが、そこに焦点を持ってゆき、物語の大団円よろしく華々しいフィナーレを作り上げたヴィオッテイの手腕もすごかった。
一瞬誰も拍手ができず、間ができたことも余韻としてすごくよかった。

音が響きとして包まれるように聴こえるサントリーホール。
音がリアルにそのまま届き、さらには上からも降り注ぐようにして降ってくるように聴こえるミューザ。
どちらも優秀なホールです。
そんなことも、この2週間で確認ができた。
また、声楽作品、歌へのこだわりなども感じることのできたヴィオッテイの才能。
ヴィオッテイと東響の2ウィークが終わってしまい、とても寂しくもありました。

ヴィオッテイはこのあとは、オランダでこの前までの手兵のネーデルランドフィルに客演。
ラフマニノフの交響的舞曲を指揮する予定。

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ノット監督との深い絆で結ばれたコンビとはまた違った、まるで仲間のような親密な関係をきっと築きそうなヴィオッテイと東響です。

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会心の演奏を祝う東響のみなさん。
完璧でした、ありがとう。

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このあと、ヴィオッテイを拍手で呼び出し、ふたたび大喝采。

次は7月にまた帰ってきてね。

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2026年5月23日 (土)

ヴィオッテイの音源を確認する

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少し前のバラの花、真っ盛りの秦野の公園

暑かったり、寒かったりで、体調管理が大変な今年の初夏でした

来日中のロレンツォ・ヴィオッテイの次のコンサートを控えて、ここ数年で録音した海外の放送音源を確認してみた。

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ヴィオッテイが常連となっているウィーン交響楽団との演奏会。

ムジークフェラインの黄金カラーが似合う男。

2022年の客演で東響で演奏されるダフニスとクロエ全曲を指揮したときのもので、このときにORFでの放送を録音して聴いてます。
57分の演奏時間、華美に傾かず、渋さすら感じられる堂々たる演奏です。
スイスの時計職人と呼ばれたラヴェル、まさにそんな緻密さとエーゲ海の青も感じさせる明晰さ、そんなダフニスです。
実演がほんとに楽しみ。

数種あるDVD作品はまだ未入手。
正規CDもまだほとんど出ていない状況で、個人で楽しむその前提の放送音源は貴重です。

【音源】

・コルンゴルト シンフォニエッタ ウィーン放送ORF響 (2018)
・ヴェルディ 聖歌四篇 ウィーン響 (2019)
・シェーンベルク 浄夜 ウィーン響  (2019)
・ドビュッシー 夜想曲 ネーデルランド・フィル  (2021)
・チャイコフスキー 悲愴 ネーデルランド・フィル   (2021)
・ツェムリンスキー 人魚姫  ウィーン響 (2021)
・ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ヴォンドラーチェク ウィーン響(2022)
・ラヴェル ダフニスとクロエ ウィーン響 (2022)
・ベートーヴェン 英雄 東響 (2023 ニコ響より)
・R.シュトラス 英雄の生涯  東響 (2023 ニコ響より)
・プッチーニ 三部作 ネーデルランドオペラ (2024)
・ヴェルディ シモン・ボッカネグラ ミラノ・スカラ座 (2024)
・ラフマニノフ  死の島 ウィーフィル (2024)
・R.コルサコフ スペイン奇想曲 ウィーフィル (2024)
・ドヴォルザーク 交響曲第7番 ウィーフィル (2024)
・サン=サーンス チェロ協奏曲 ガベッタ ウィーン響 (2025)
・R.コルサコフ シェエラザード ウィーン響 (2025)
・ツェムリンスキー 春の埋葬 ウィーン響 (2025)
・ブルックナー ミサ曲第3番 ウィーン響  (2025)

たくさん逃しているはずなので、もっと放送されてると思います。
近現代ものが多くありますが、ハイドンやモーツァルトもたくさん指揮してますね。
マーラーは6、8、9番以外は全部やってます。

【映像】

・マーラー 交響曲第7番 グルベンキアン管
・ウィンナ・ワルツ、ラ・ヴァルス ウィーン響
・チャイコフスキー テンペスト ネーデルランドフィル
・ラフマニノフ 死の島 ネーデルランドフィル
・ブリテン シンフォニア・ダ・レクイエム ネーデルランドフィル
・ツェムリンスキー 小びと ネーデルランドオペラ

映像で見ると実演でも感じた通り、大ぶりせず、表情豊かで的確な指揮ぶりがよくわかります。
ツェムリンスキーのオペラがすばらしいです。
来シーズンあたりに、ツェムリンスキーの人魚姫か抒情交響曲を期待したいですね。

ネーデルランドオペラで取り上げた演目も調べてみました。
「ツェムリンスキーのこびと」「サロメ」「トスカ」「トゥーランドット」
「ばらの騎士」「ローエングリン」「三部作」「ピーター・グライムズ」「こうもり」

ヴェルディも得意なので、チューリヒオペラでのさらなるレパートリー拡充が期待できます。
ちなみにコルンゴルト「死の都」もチューリヒで上演したばかり。
こちらはチェルニアコフの演出なだけに映像化して欲しいです。

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                         (From the website of the Netherlands Opera)

ヨーロッパの街並みに似合う、まるで60年代の頃のようなダンディマン。

これからは日本で素晴らしい演奏と、日本の景色でナイスな写真もたくさん残して欲しいです。

東響での抱負を語ったヴィオッテイは、チクルス的な一定のテーマやコンセプトは設けない、劇場以外でのオペラ上演は現実的でないと語っている。
今回、羅列した最近の演奏記録からは、そんな姿勢がうかがえます。
確たる信念を持っていて、それが今シーズン、次のシーズンとどんな風に展開されていくか、ますます楽しみに。
ホールでのオペラを期待していたワタクシですから、この際、東響がピットに入る時期に新国に是非にも登場して欲しい。

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