サマーミューザ 読売日本交響楽団 ヴァイグレ指揮
日本のオーケストラの夏の祭典、ファスタ・サマーミューザに再び。
そう、ワーグナーですよ。
バイロイトも150周年の記念の年で、そちらは放送で例年どおり連日楽しんでます。
フェスタ・サマーミューザ 読売日本交響楽団演奏会
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37
シューベルト 楽興の時 第3番 ~アンコール
Pf: 鈴木 愛美
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
~オーケストラル・トリビュート~
ヘンク・デ・フリーヘル編 日本初演
セバスティアン・ヴァイグレ指揮 読売日本交響楽団
コンサートマスター:日下 紗矢子
(2026.7.31 @ミューザ川崎シンフォニーホール)
サマーミューザでは、2023年にこのコンビで「ニーベルングの指環」フリーヘル編。
2025年には、ノットと東響で「ニーベルングの指環」マゼール編を、それぞれに聴いてますが、ともにベートーヴェンの8番との組み合わせだった。
そして、今回もワーグナーとベートーヴェンで、協奏曲とはいえ、調性にひとひねりあり、ハ短調とハ調の対比でもありました。
そのハ短調を本格的なベートーヴェンとはかくや、と思わせるピアノを聴かせたのが若い鈴木愛美さん。
私は初めてのピアニストでしたが、すでに彼女のベートーヴェンは定評があり、ファンもたくさんいらしてましたね。
ともかく一音一音がクッキリと明快で、音楽の組み立ても隙なく安定感があるのが年齢を思わせない彼女のスゴさかも。
曲が曲だから、シャープな1楽章では輪郭を際立たせたヴァイグレと読響の音も手伝い、辛口の渋い演奏にも感じた。
緩徐楽章が抒情的なベートーヴェンらしさの最たる作品が3番でもありますが、この2楽章がともかく美しかった。
静謐でありつつ透明感にあふれたピアノのソロに導かれるように柔和なオーケストラが入ってくる冒頭から、もう私はこの演奏に聴き惚れました。
ピアニストの若い、瑞々しい感性がこの楽章にはなみなみとあふれ出ておりましたし、それを優しく見つめ支える指揮者とオーケストラによる幸せな楽章。
次ぐ3楽章はあわてず騒がず、じっくりと短調と長調との橋渡し、その対比もごく自然で気負うことのない落ち着きすら感じ、そうでありながらもしっかりとフィナーレとしての完結感をオーケストラとともに表出。
実に気持ちのいい、夏の暑さも忘れてしまう爽やかかつ堂々たるベートーヴェンでした。
この気持ちをさらに柔らかさで包み込んでくれたのがシューベルトの音楽。
シューベルトの歌声を感じさせる実にステキな演奏でありました。
誰しも優しい気持ちになります。
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オーケストラルアドベンチャーとして、コンサートの定番にもなった「リング」で高名なデ・フリーヘル(73)が2005年に手掛けたのが「マイスタージンガー」。
フリーヘル編のワーグナーは現在のところ、「リング」(1991)、「パルジファル」(1993)、「トリスタン」(1994)、「マイスタージンガー」(2005)、「タンホイザー」(2018)と未完の草稿の補完・オケ編(1996)となっており、残るは初期3作と「オランダ人」「ローエングリン」。
ということで、自分的にはその存在すらまったく圏外だった「マイスタージンガー」のフリーヘル版があることを今回はじめて知った次第で、音源も父ヤルヴィ、デ・ワールトとあることも知った。
なんたって、ヴァイグレはマイスタージンガーでバイロイト音楽祭デビューを2007年に飾り5年間、カタリナ・ワーグナーのプロダクションをすべて指揮した経緯あり、さらに今回の演奏会の事前インタビューを読んだが、ベルリン国立歌劇場の首席ホルンだった時代に、スウィトナーに率いられた引っ越し公演で東京でマイスタージンガーのピットに入っていたとの発言もありました。
私も観劇したNHKホールでのあのスウィトナーのマイスタージンガー。
指揮者として、オーケストラの一員として、マイスタージンガーばかりでなく、ワーグナーに精通しているヴァイグレですからもう安心して、その素晴らしい「ワーグナーサウンド」に酔いしれることが出来たのです。
前奏曲→①親方たちの集合→②徒弟たちの歌→②ザックスのモノローグ「にわとこの花」→③前奏曲→③洗礼「五重唱」→③各業界組合の行進→③徒弟たちの踊り→③マイスタージンガーたちの入場、ザックス入場→③ヴァルターの歌「朝はばら色に輝き」→③ザックスの戒め「親方たちを侮るなかれ」、終幕合唱
約50分に巧みに集約された構成だが、どうしても3幕ばかりになるのは歌より合唱も多く、動きが多いシーンが3幕だから。
ベックメッサーがまったく登場しないから、2幕からベックメッサーの愉快な歌のシーンや乱闘シーンは入れてもよかったかも・・・です。
それにしても、前奏曲のハ調の出だしからヴァイグレも読響も気合が入っていて、ホールすべてを解放してしまうかのような前向きかつ明るい響きだった。
読響の威力あふれる低弦にもおどろきで、これぞワーグナー、ドイツだとも思ったりもした。
親方たちを点呼するくり返しの音型のある集合シーンも点呼を脳内再生しながら聴くのも楽しかったし、オケがあんなふうに演奏してるんだな、と拝見するのも興味深いものがあり。
ヨナンニスタークとこれもまた脳内で歌いつつ楽しんだ徒弟の歌や、ザックスの内向的なモノローグシーン。
3幕の前奏曲は絶品で、その音楽の深さとオーケストラのコクと音の厚みも堪能。
そこから抒情的な5重唱は、管楽器などで歌は代行されるが、この楽劇でいちばん美しく霊感あふれる場面なので、ずっと続いて欲しかったとも思いましたね。
そして愉快だったのが組合の行進で、業種ごとにデフォルメされた音楽だけど、ヴァイグレさんの指揮が音楽が乗り移ったみたいで顔芸や写実的な指揮ぶりを披露して、まったく飽きさせることがなく、このあたりは劇場では味わえない面白さだろう。
神妙なるヴァルターの優勝シーンから、ザックスの名演説シーン、このあたりももう、歌を伴う脳内再生で聴きつつその音楽と演奏にのめり込む自分がいて、自分が自分でバカだなぁ~と思うようにしてた(笑)
そんだけ、ワーグナーの音楽が血肉と化してる訳なんですがね、歳とともに客観視もできるようになってきたのに。
予定調和のハ長の大団円に、熱烈ブラボーを飛ばさなかった自分を褒めてあげたい。
P席だったし、まわりはおとなしかったので自分が制御できましたよ・・・・
安心してすべてを委ねることができた日本で聴ける本物のワーグナー。
来年に予定される、ヴァイグレによるシュテファンのオペラ、好きな界隈なので是非聴きたいところです。
まだ暑い熱気のこもる外、見上げると朧に月がのぼってましたね。
さあ、夏だ。ワーグナーだ。





















































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